地震や台風、大雨などの災害が起きたとき、「食べるものは大丈夫かな」と考えたことはありますか?
防災のための食事というと、まず思い浮かぶのは非常食や長期保存できる食品かもしれません。
けれど、実際に災害が起きたときに困るのは、単純に「食べ物がなくなること」だけではありません。
冷蔵庫には食材が入っている。お米もある。冷凍庫にも何かしら入っている。
それなのに、電気・ガス・水道が止まると、いつものように料理することができなくなるのです。
電子レンジで温めることもできない。電気ケトルでお湯を沸かすこともできない。断水していれば、お米を研いだり、鍋や食器を洗ったりすることにも水を使います。
一人暮らしなら、こうした状況を自分ひとりで何とかしなければなりません。
だからといって、防災用の食品を何箱も買って、部屋の一角を非常食でいっぱいにする必要はありません。
むしろ最初に考えておきたいのは、「今、家にある食べ物で何ができるだろう?」ということ。
その次に、普段から食べている缶詰やレトルト食品などを少し多めに置いておく。そして足りない部分を、アルファ米などの長期保存食で補っていく。
このくらいの備え方なら、収納場所が限られている一人暮らしでも始めやすいですよね。
この記事では、災害が起きた直後から数日間をイメージしながら、一人暮らしの女性が無理なくできる「食事の備え」について考えていきます。
災害が起きると、普段の食事はどう変わる?
いつもの朝なら、冷蔵庫から牛乳を出して、パンをトースターで焼いたり、電子レンジで昨日の残りを温めたり。
夜になれば、ご飯を炊いて、冷蔵庫の食材を使って簡単なおかずを作る。
一人暮らしでは「ちゃんと料理する日」もあれば、「今日は疲れたから冷凍食品でいいかな」という日もありますよね。
普段はそれで何の問題もありません。
ところが災害によってライフラインが止まると、こうした何気ない食事が急に難しくなります。
停電すると冷蔵庫だけでなく調理家電も使えない
停電で最初に気になるのは、やはり冷蔵庫ではないでしょうか。
冷蔵庫や冷凍庫の中には、肉や魚、乳製品、作り置きのおかず、冷凍ご飯など、温度管理が必要な食品がたくさん入っています。
「せっかく買ったものが傷んでしまったらどうしよう」と気になりますが、困ることはそれだけではありません。
電子レンジ、炊飯器、トースター、IHクッキングヒーター、電気ケトルなども、停電すれば使えなくなります。
普段は火を使わずに食事を済ませている方ほど、停電したときに「こんなに電気に頼っていたんだ」と気づくかもしれません。
☑ 停電すると使えなくなるものの例
・電子レンジ
・炊飯器
・電気ケトル
・オーブントースター
・IHクッキングヒーター
・冷蔵庫・冷凍庫の冷却機能
例えば、カップ麺があっても、お湯を沸かす方法がなければ食べられません。
冷凍ご飯がたくさんあっても、電子レンジが使えなければ、いつものように温めることはできません。
「食べ物がある」ことと「今すぐ食べられる」ことは、災害時には少し違うのです。
この違いを知っておくだけでも、備えておきたい食品が見えやすくなります。

ガスが止まると「温めるだけ」も難しくなる
「停電してもガスコンロがあるから大丈夫」と思うこともありますが、災害の状況によってはガスも使えなくなることがあります。
そうなると、鍋でお湯を沸かす、レトルト食品を湯せんする、インスタントスープを作る、といったことも難しくなります。
冬なら、温かいものを口にしたくなるでしょう。
不安な一日を過ごしたあと、温かいスープをひと口飲めるだけでも、少しほっとできそうですよね。
反対に夏は、火を使って室温を上げること自体が負担になる場合もあります。
そのため防災用の食品は、「加熱して食べるもの」だけで揃えないことも大切です。
そのまま食べられるものと、加熱できればより食べやすくなるもの。この両方を少しずつ持っていると、状況に合わせやすくなります。
断水すると料理だけでなく洗い物にも水を使えない
食事のことを考えると、どうしても「何を食べるか」に目が向きます。
けれど、断水したときにはもう一つ大きな問題があります。
食べ終わったあとの洗い物です。
お米を炊くにも水が必要。野菜を洗うにも水が必要。鍋や包丁、まな板、食器を洗うにも水が必要です。
断水時の水は飲用だけでなく、トイレや手洗いなどにも必要になるため、できれば食器洗いだけでたくさん使いたくありません。
そこで災害時の食事では、
☑ 食べ物だけでなく「後片付け」まで考える
・袋から直接食べられるもの
・容器のまま食べられるもの
・調理器具をたくさん使わないもの
・少ない水で用意できるもの
・食器を汚さずに済む食べ方
といった視点も大切になります。
これは、前回の「断水」の備えともつながるところです。
食事だけを切り離して考えるのではなく、停電・ガス停止・断水が重なったときでも食べられるかを考えてみると、本当に役立つ備えが見えてきます。
災害直後は「家にある食べ物」から考えてみましょう
ここまで読むと、「やっぱり非常食をたくさん買っておいたほうがいいのかな」と思うかもしれません。
でも、少し待ってください。
災害が起きたからといって、その瞬間から防災用の保存食だけで生活しなければならないわけではありません。
まずは、今、家にどんな食べ物があるかを考えてみましょう。
最初の数時間は無理に非常食を開けなくてもいい
例えば家に、こんなものはありませんか?
・バナナやみかんなどの果物
・クラッカーやビスケット
・せんべい
・チョコレート
・ナッツ類
・シリアル
・栄養補助食品
・缶詰
・常温保存できる飲み物
どれも「いかにも非常食」という食品ではありません。
けれど、火も電子レンジも使わずに口にできるものなら、災害直後には十分役立ちます。
地震が起きた直後などは、余震が続いていたり、停電の状況を確認したり、家族や知人へ連絡したりと、落ち着いて料理をしている余裕がないことも考えられます。
そんなときは、無理に「きちんとした一食」を作らなくても大丈夫。
パンを食べて、水を飲む。少し甘いものを口にする。
まずはそれでもいいのです。
普段なら「夕食にお菓子なんて」と思うかもしれませんが、非常時までいつもの食事の形にこだわる必要はありません。
むしろ、自分が好きで普段から食べているものが少しあると、慣れない状況の中でも口にしやすいでしょう。

冷蔵庫・冷凍庫の食品はどうする?
停電すると、「冷蔵庫の中身を早く食べなくては」と焦ってしまいそうですよね。
確かに、冷蔵・冷凍が必要な食品は、停電が長引けば温度が上がっていきます。
ただし、停電した瞬間にすべての食品が食べられなくなるわけでもありませんし、反対に「冷蔵庫のものだから早く全部食べれば大丈夫」とも言い切れません。
停電がどのくらい続いているのか、季節はいつなのか、冷蔵庫をどのくらい開閉したのか、食品がどのような状態なのかによっても変わります。
そのため、災害直後は冷蔵庫の扉を何度も開け閉めしないことも意識しておきたいところです。
「何が入っていたかな?」と何度も確認するより、普段から中身をある程度把握しておくと、こんなときにも役立ちます。
また、においや見た目だけで安全性を判断できない食品もあります。
停電が長引いた場合、少しでも安全性に不安がある食品を無理に食べないことも大切です。
「もったいない」と思ってしまいますが、非常時だからこそ体調を崩さないことを優先したいですね。
夏と冬では食事の困り方も少し違う
同じ停電でも、真夏と真冬では状況がかなり違います。
夏は室温が上がりやすく、冷蔵・冷凍食品の管理には特に気を使います。
暑さで食欲が落ちることもありますし、加熱調理で部屋がさらに暑くなるのもつらいものです。
そんなときには、缶詰やクラッカー、常温保存できる食品など、火を使わず少量ずつ食べられるものがあると便利です。
一方、冬は温かい食べ物や飲み物が欲しくなる場面が増えます。
カセットコンロなどで安全にお湯を沸かせる状況なら、温かいスープや飲み物があるだけでも食事の印象がずいぶん変わります。
つまり、防災用の食品を考えるときには、
「何年保存できるか」だけを見るのではなく、「自分ならその状況で食べたいと思えるか」
という視点も忘れたくありません。
1日、2日、3日…食事はどう変えていけばいい?
災害時の食事を考えるとき、「3日分の非常食」とひとまとめにすると、何をどのくらい用意すればいいのかわかりにくくなります。
そこで、時間の経過に合わせて考えてみましょう。
まずは火も水も使わず食べられるもの
災害が起きた当日、特に最初の数時間は、調理をしない食事が現実的です。
パン、クラッカー、缶詰、栄養補助食品、果物、お菓子など、開ければ食べられるものを利用します。
ここで大切なのは、「非常食らしいもの」にこだわらないことです。
普段から朝食にシリアルを食べる方なら、それも備蓄になります。
小腹が空いたときにナッツを食べる方なら、少し多めに買っておく。
チョコレートが好きなら、それも立派な「食べられる備え」です。
災害時だからといって、急に普段食べないものばかりに切り替える必要はありません。
次に、少量の水や簡単な加熱で食べられるものへ
少し落ち着いてきて、水や熱源を使えるようになれば、食べられるものの幅が広がります。
アルファ米、フリーズドライのスープ、レトルト食品なども選択肢に入ってきます。
温かい食事が一品加わるだけでも、「ちゃんと食事をした」という感覚を持ちやすくなります。
特に一人暮らしでは、災害時に誰かが食事を作ってくれるわけではありません。
疲れているときでも、袋を開ける、水を注ぐ、温める程度で食べられるものがあると助かります。
数日続くなら「食べ飽きないこと」も大切
非常食というと、どうしても「カロリーが取れればいい」と考えがちです。
もちろん、まずエネルギーを取ることは大切です。
でも、同じ味のものを何食も続けるのは、思っている以上につらいもの。
ご飯だけ、パンだけ、甘いものだけでは、数日経つと違う味が欲しくなってきます。
そこで、主食だけを大量に揃えるのではなく、
☑ 少しずつ違う種類を組み合わせる
・ご飯になるもの
・パンやクラッカー
・魚や肉の缶詰
・スープ類
・果物の缶詰
・ナッツ類
・甘いもの
・普段好きな飲み物
というように、種類を分けて持っておくと食事に変化をつけやすくなります。
「防災だから我慢する食事」ではなく、大変なときだからこそ、少しでも食べやすいものを用意しておく。
そんな考え方で備えてみると、非常食選びも少し気楽になるのではないでしょうか。
一人暮らしの食料は何日分備えておけばいい?
「災害に備えて食料を用意しましょう」と言われても、困るのが「では、一人分ってどのくらい?」ということですよね。
3日分、できればそれ以上……と日数だけ聞くと、かなりたくさん買わなくてはいけないように感じます。
一人暮らしの部屋では、収納できる場所にも限りがあります。
キッチンの棚は普段使う食品や調理器具ですでにいっぱい。そこへ大きな非常食セットを何箱も置くとなると、「いったいどこに置けばいいの?」となってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで、最初から完璧な備蓄を目指すのではなく、まずは3日間、自分なら何を食べるかを考えてみましょう。
「1日3食×3日=9食」と考えすぎなくても大丈夫
3日分というと、すぐに「3食×3日だから9食分の非常食が必要」と考えてしまいがちです。
もちろん、目安として食事の回数を数えるのはわかりやすい方法です。
ただ、9個の「防災専用食」を用意しなければならない、という意味ではありません。
例えば、ある日の朝なら普段食べているシリアルと常温保存できる飲み物。
昼はアルファ米と魚の缶詰。
夜はクラッカーと缶詰、スープ。
その間にナッツやビスケット、チョコレートを少し食べる。
このように考えると、特別な非常食だけで9食を埋めなくても、普段家に置いている食品と組み合わせることができます。
| 時間 | 食事の一例 |
|---|---|
| 朝 | パン・シリアル・栄養補助食品など |
| 昼 | アルファ米+缶詰など |
| 夜 | レトルト食品・缶詰・スープなど |
| 間食 | ナッツ・チョコレート・ビスケットなど |
もちろん、これは一例です。
朝はあまり食べない方もいれば、パンよりご飯のほうが落ち着く方もいます。
大切なのは、誰かの「防災食リスト」をそのまま真似することではありません。
自分が普段どんなものを食べているのかを思い浮かべながら組み立てるほうが、無駄のない備えになります。
一人分なら「何食」より「何があるか」を見てみる
一度、キッチンの棚を開けてみてください。
ツナ缶が2個。レトルトカレーが1袋。パックご飯が2個。クラッカーが1箱。インスタントスープが数袋。
意外と、すでに「食べられる備え」を持っているかもしれません。
ただし、ここで一つ確認しておきたいことがあります。
パックご飯は電子レンジや湯せん、カップ麺はお湯というように、普段は常温保存できても、食べるときに加熱や水が必要な食品もあります。
そこで、備蓄を確認するときは、食品の数だけではなく、
☑ 「どうやって食べるか」も一緒に確認
・開ければそのまま食べられる?
・水が必要?
・お湯が必要?
・電子レンジが必要?
・カセットコンロがあれば食べられる?
・食器や調理器具は必要?
というところまで見ておくと安心です。
この確認をしてみると、「食料は結構あるのに、停電したら食べられるものが少ない」ということにも気づけます。
非常食ばかり買わなくても、普段の食品が防災食になる
ここまで見てくると、防災用の食料は「非常食売り場で揃えるもの」だけではないことがわかってきます。
むしろ一人暮らしでは、普段食べているものを少し多めに持っておくほうが続けやすい場合があります。
これが、よく聞く「ローリングストック」という考え方です。
言葉だけ聞くと少し難しそうですが、やることはとてもシンプル。
食べる → 減ったら買う → また食べる。
特別な防災作業というより、いつもの買い物の延長です。
缶詰・レトルト・乾物も立派な備えになる
例えば、普段からツナ缶をサラダやパスタに使うなら、いつもの1~2個ではなく少し多めに置いておく。
サバ缶をよく食べるなら、それも同じです。
レトルト食品、乾麺、海苔、ふりかけ、インスタントスープなども、普段使いながら備えることができます。
ただし災害時を考えるなら、先ほど触れたように「加熱なしで食べられる食品」も混ぜておくのがポイントです。
電気もガスも使えない時間があっても、缶を開けるだけ、袋を開けるだけなら食事につなげられます。

甘いものやお菓子も備えていい?
もちろん、甘いものも選択肢の一つです。
防災食を考えていると、つい「栄養のあるものを選ばなくては」と真面目に考えすぎてしまいます。
でも、災害時はいつもと違う環境で過ごすことになります。
そんなとき、普段好きなチョコレートやビスケット、飴などが少しあると、食べやすいこともあるでしょう。
特に女性の場合、普段から「午後にちょっと甘いものを食べる」「コーヒーと一緒にビスケットを食べる」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
非常時だからといって、その小さな楽しみまで全部なくす必要はありません。
「栄養のための食品」と「自分がほっとできる食品」の両方を少しずつ。
そんな備え方も、長引く避難生活を考えるうえでは大切です。
ただし、夏場のチョコレートなどは高温で溶けやすいため、保管場所や季節に合わせて入れ替えるとよいでしょう。
野菜不足や栄養の偏りはどう考える?
数日間の食事を考えると、「ご飯と缶詰だけでは野菜が足りないのでは?」と気になりますよね。
確かに、保存しやすい食品は炭水化物やたんぱく質に偏りやすく、生鮮野菜や果物は長期保存が難しいものです。
だからといって、災害直後から普段とまったく同じ栄養バランスの献立を作ろうとすると、それだけで大変になってしまいます。
まずは食べられるものからエネルギーと水分を確保し、備蓄を少し充実させるなら、野菜ジュースや果物の缶詰、乾燥野菜、海藻類なども候補になります。
ここでも「防災専用品でなければならない」と考える必要はありません。
普段から飲む野菜ジュースがあるなら少し多めに置いておく。果物の缶詰が好きなら1~2缶加えておく。
そうやって自分が食べられるものの中から少しずつ種類を増やすほうが、無理なく続けやすいでしょう。
災害時の主食にアルファ米があると安心
普段の食品を利用しながら備えることを基本にしても、やはり「ご飯になるもの」がいくつかあると安心です。
そこで、防災用として少し加えておきたいのがアルファ米です。
名前は聞いたことがあっても、「普通のお米と何が違うの?」「どうやって食べるの?」という方もいるかもしれません。
アルファ米は、炊いたお米を乾燥させ、保存しやすくしたものです。
袋に水やお湯を加えて戻して食べるタイプが多いため、炊飯器でお米を炊けないときの主食として使えます。
今回取り上げるのは、尾西食品のアルファ米です。
白飯だけでなく、わかめごはんや五目ごはんなど種類があり、一食分ずつ袋に入っているので、一人暮らしでも扱いやすいのが特徴です。
白飯の場合は内容量100gで、水またはお湯を加えるとできあがり量は260g。必要な水の量は160mlが目安です。
袋の中で作ってそのまま食べられるため、食器を用意しにくい災害時にも使いやすいでしょう。
そして、ここで覚えておきたいのが「お湯がなければ食べられないわけではない」ということ。
水でも戻せる商品なら、停電やガス停止でお湯を沸かせないときにも使えます。ただし、お湯を使う場合よりできあがるまで時間がかかるため、実際に備える商品の作り方を事前に確認しておきましょう。

アルファ米のよいところは、毎日の主食をすべて置き換えるためではなく、「炊飯器も鍋も使えないときのご飯」を数食分確保できるところです。
一人暮らしなら、最初から何十食も買う必要はありません。
白飯だけでなく味付きのものも少し組み合わせれば、「今日はわかめごはんにしよう」と選ぶこともできます。
非常時のために置いておく食品だからこそ、保存期間だけではなく、自分が食べやすそうな味を選ぶことも忘れないでくださいね。
価格・在庫等は取得時点の情報です。
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缶詰は「普段の食事」と「災害時」を兼ねやすい
防災のためだけに特別な食品をたくさん買いたくない方にとって、取り入れやすいのが缶詰です。
ツナ、サバ、焼き鳥、豆、コーン、果物など、スーパーでもさまざまな缶詰が売られています。
常温で置いておけるものが多く、商品によっては開ければそのまま食べられるため、電気やガスが使えないときにも役立ちます。
何より、普段の食事でも使いやすいのがうれしいところです。
ローリングストックなら「食べ慣れた味」を備えられる
今回、一例として取り上げるのはホテイフーズの「やきとり たれ味」です。
「防災用」と大きく書かれた食品ではなく、普段スーパーなどでも見かける身近な缶詰です。
こうした食品なら、賞味期限が近づいてきたときにも「仕方なく非常食を消費する」という感じになりにくく、普段の食事やおつまみなどとして使えます。
食べたら、次の買い物でまた1缶補充する。
これならローリングストックも難しくありません。
もちろん、焼き鳥缶だけを何缶も揃える必要はありません。
ツナ缶、サバ缶、豆の缶詰、果物の缶詰など、自分が普段から食べるものを数種類に分けるほうが、飽きにくく使い切りやすくなります。
「非常食を買う」と構えずに、いつもの買い物かごへ缶詰を1つ多く入れる。
一人暮らしの備蓄は、そんな小さなところから始めてもよいのではないでしょうか。
カセットコンロは災害時の食事に必要?
ここまで、できるだけ火や電気を使わずに食べられるものを中心に考えてきました。
では、カセットコンロは一人暮らしでも用意しておいたほうがよいのでしょうか。
カセットコンロがなくても、開けてそのまま食べられる食品を用意しておけば、すぐに食事ができなくなるわけではありません。
けれど、停電やガスの停止が長引いたとき、「お湯を沸かせる」という選択肢があるだけで、食べられるものはぐっと増えます。
アルファ米をお湯で戻したり、レトルト食品を湯せんしたり、温かいスープや飲み物を作ったり。
特に寒い時期には、冷たいものばかりではなく温かいものを口にできることが、うれしく感じられるでしょう。
お湯を沸かせるだけでも食事の幅が広がる
普段、電気ケトルを使っている方は多いと思います。
スイッチを押せば短時間でお湯が沸くので、日常では「お湯を沸かせること」を特別なこととは感じませんよね。
ところが停電すると、電気ケトルは使えません。
IHクッキングヒーターの部屋なら、キッチンのコンロも使えなくなります。
そんなときにカセットコンロがあれば、電気や都市ガスに頼らず、鍋ややかんでお湯を沸かす方法を確保できます。
☑ お湯が使えると、こんな食事がしやすくなります
・アルファ米をお湯で戻す
・レトルト食品を湯せんする
・インスタントスープを作る
・温かい飲み物を作る
・麺類など簡単なものを調理する
「カセットコンロがあるから、普段どおり料理をしなくては」と考える必要はありません。
非常時には、できるだけ調理器具を増やさず、洗い物も少なくしたいもの。
お湯を沸かす、小さな鍋で簡単に温める。
そのくらいの使い方でも、十分役立ちます。

一人暮らしなら「普段も使えるもの」を選ぶと置きやすい
防災用品を揃えるとき、一人暮らしで気になるのはやはり収納場所です。
非常時のためだけに大きな道具を買って、何年も押し入れの奥へしまっておくのは、少しもったいない気もします。
そこでカセットコンロも、鍋料理や卓上調理など普段の生活でも使えるものを選ぶ方法があります。
今回紹介する候補は、イワタニの「カセットフー スリム」です。
薄型のカセットコンロなので、キッチンの限られた収納スペースにも置き場所を考えやすく、普段の食卓でも使えます。
防災用品としてしまい込むのではなく、たまに鍋料理などで使っていれば、「どこにしまったかわからない」「一度も使ったことがなく、非常時に操作で迷う」ということも防ぎやすくなります。
カセットボンベも忘れずに一緒に考える
カセットコンロを用意して安心してしまい、意外と忘れやすいのがカセットボンベです。
本体があっても、燃料になるボンベがなければ使えません。
また、カセットボンベにも保管上の注意があります。
高温になる場所や直射日光の当たる場所を避け、商品の表示やメーカーの注意事項に従って保管しましょう。
「何本あれば絶対に大丈夫」と一律に考えるよりも、どの程度調理に使うのか、何日分を想定するのかによって考える必要があります。
そして、カセットコンロは換気などの安全面に注意して、必ずメーカーの使用方法を守って使うことも大切です。
防災用だからといって、通常とは違う危険な使い方をしてよいわけではありません。
災害時には気持ちが焦っていることも考えられるため、普段から一度使っておくと安心ですね。
長期保存できる非常食は「最後にプラス」で考える
防災用品の売り場を見ると、5年保存、7年保存などの長期保存食品がたくさん並んでいます。
箱の中に何日分もの食事がセットになった商品を見ると、「これを買っておけば安心なのかな」と思いますよね。
もちろん、長期保存できる非常食には大きなメリットがあります。
賞味期限が長いため頻繁に入れ替える必要がなく、普段の食品がなくなったあとにも食料を確保できます。
でも、今回の記事では最初から大きな非常食セットを買うことをおすすめする必要はないと考えています。
まずは、今ある食品。
次に、缶詰やレトルト食品など、普段食べながら少し多めに持てるもの。
そして、アルファ米のような長期保存しやすい食品。
それでも足りない分を、必要に応じて保存食で補う。
この順番なら、収納場所の少ない一人暮らしでも始めやすいのではないでしょうか。
☑ 一人暮らしなら、こんな順番で考えてみましょう
① 今、家にあるもの
パン・お菓子・シリアルなど、すぐ食べられる食品
② 普段食べながら備えるもの
缶詰・レトルト食品・乾物・飲み物など
③ 災害時のために少し加えるもの
アルファ米などの長期保存食品
④ 必要ならさらに補うもの
長期保存の非常食セットなど
こうして見ると、すべてを「防災専用品」で揃えなくてもよいことがわかります。
防災のために別の食生活を用意するのではなく、普段の食生活の少し先に防災を置いておく。
そのくらいの考え方のほうが、無理なく続けやすいでしょう。
非常食セットを選ぶなら中身まで確認する
もちろん、「一つずつ考えて揃えるより、セットになっているほうがラク」という方もいます。
そんな場合は、非常食セットを利用するのも一つの方法です。
ただし、「○日分」と書いてあるだけで選ばず、中身を一度確認してみましょう。
・主食ばかりに偏っていないか
・水やお湯が必要な食品はいくつあるか
・必要な水の量はどのくらいか
・スプーンなどが付いているか
・自分が食べられそうな味か
・アレルギー表示は確認したか
・賞味期限はいつまでか
特に見落としたくないのが、調理に必要な水です。
保存食をたくさん用意しても、その多くに水が必要なら、食料と一緒に水の備えも考えなければなりません。
前回の断水の記事で考えた「飲料水の備え」が、ここでもつながってきます。
防災用品は一つひとつ別々に考えるより、「これを使うには、ほかに何が必要?」と考えていくと不足に気づきやすくなります。
一人暮らしなら収納と賞味期限の管理も大切
食料を少しずつ揃えていくと、次に出てくるのが「どこに置こう?」という問題です。
広いパントリーがある家ならまとめて収納できますが、一人暮らしのキッチンではそうはいきません。
食器棚も冷蔵庫の上も、すでに物がいっぱい。
ベッドの下に収納できたとしても、奥へしまい込んで存在そのものを忘れてしまったら、賞味期限の管理が難しくなります。
「防災食品専用の場所」を無理に作らなくてもいい
ローリングストックする食品なら、普段の食品と一緒に置く方法があります。
例えばツナ缶をいつも2缶置いているなら、4缶にする。
レトルト食品を2袋置いているなら、3~4袋にする。
それだけなら、新しく大きな収納ボックスを用意しなくても済むかもしれません。
そして、長期保存用のアルファ米など、普段あまり食べないものだけを小さなかごやケースにまとめます。

大きな「防災箱」を一つ作るよりも、キッチンに普段使いの備蓄、別の場所に長期保存食というように分けたほうが、一人暮らしでは収まりやすいこともあります。
賞味期限は「食べて入れ替える」と管理しやすい
非常食を買ったときは賞味期限を覚えていても、3年、5年と経つうちに忘れてしまいます。
気づいたときには「全部同じ時期に期限が来てしまった」ということも。
だからこそ、缶詰やレトルト食品は普段から食べて、減った分を買い足す方法が便利です。
新しく買ったものを奥へ、賞味期限の近いものを手前へ。
難しい管理表を作らなくても、これだけで自然に古いものから使いやすくなります。
長期保存食については、年に1~2回、防災用品を確認する日を決めて、そのときに賞味期限を見る方法もあります。
「防災の日」や、自分の誕生日など、忘れにくい日とセットにしておくのもよいですね。
食器を洗えないときはどうする?
最後に、食べ物そのものではありませんが、災害時の食事で意外と困る「食器」についても考えておきましょう。
断水していると、食事のたびにお皿やお椀を洗うための水を使うのは難しくなります。
そんなときは、普段使っているお皿に食品用ラップやポリ袋などをかぶせ、その上に食べ物をのせる方法もあります。
食後は汚れた部分を外せば、お皿そのものの汚れを抑えやすくなります。
紙皿や使い捨てのスプーンなどを少し備えておく方法もありますが、使い捨て用品ばかりにするとゴミが増えるという問題もあります。
災害時はごみの収集が通常どおり行われない可能性もあるため、「洗い物を減らすこと」と「ごみを増やしすぎないこと」の両方を意識したいところです。
缶詰なら缶から直接食べる、アルファ米なら袋から食べるなど、もともとの容器を食器代わりにできる食品を選ぶのも一つの工夫です。
まとめ|災害時の食事は「いつもの食べ物+少しの備え」から
災害時の食事について考え始めると、「何日分必要?」「非常食は何種類?」「全部長期保存で揃えたほうがいい?」と、次々に気になることが出てきます。
でも、最初から完璧に揃えようとしなくても大丈夫です。
まずは、家の食品棚を一度見てみましょう。
そのまま食べられるものはありますか?
電気がなくても食べられるものは?
水をほとんど使わずに食べられるものは?
そして、自分が普段から好きで、非常時にも「これなら食べたい」と思えるものはありますか?
☑ 一人暮らしの食事の備えは、ここから
・まずは家にある食べ物を確認する
・火や水を使わず食べられるものを少し持つ
・缶詰やレトルトは普段食べながら備える
・甘いものや好きな食品も少し加える
・アルファ米などの長期保存食で不足分を補う
・必要ならカセットコンロで「お湯を沸かせる手段」も確保する
・収納できる量から無理なく始める
防災のためだけに、普段は食べない食品を大量に買ってしまうと、収納場所にも困りますし、賞味期限が来たときの消費も大変です。
それよりも、いつもの缶詰を1個多く。
好きなビスケットを1箱多く。
そこへアルファ米を数食分。
そして、必要ならカセットコンロを一つ。
「防災のための特別な食事」を作るのではなく、普段の食生活を少しだけ災害にも強くしておく。
一人暮らしなら、そのくらいから始めるほうが続けやすいのではないでしょうか。
災害は、いつ起こるかわかりません。
だからこそ、怖がって一度にたくさん揃えるのではなく、今日の買い物で缶詰を一つ多く買ってみる。食品棚の賞味期限を一度見てみる。そんな小さな準備を重ねておきたいですね。
停電しても、ガスが止まっても、断水しても、「今日はこれを食べれば大丈夫」と思えるものが家にある。
それだけでも、いざというときの心細さを少し減らしてくれるはずです。
